カラードップラー・パルスドップラー

水野産婦人科では超音波断層法検査においてカラードップラー法、パルスドップラー法対応の診断機器を使用いたしております。
必要に応じて子宮や卵巣腫瘤内の血管分布観察による腫瘍の管理や臍帯動脈や胎児中大脳動脈の血流測定や血管抵抗を算出し子宮胎児胎盤系の機能評価を行っています。

カラードップラーとは

カラードップラー法はモノクロ表示の超音波断層像の上に、血流のある部分をカラーで表示する方法です。
通常、患者さんの体にあてるプローブの方向に近づく方向の血流を赤く、遠ざかる方向の血流を青く表示します。(天文学等で出てくるドップラー偏位における赤色偏位、青色偏位とは方向が逆になっています。)
但し、血流がプローベから射出される超音波の進行方向と直行する場合は血流が描出されないため、血流の存在する全ての部分をカラー表示することが出来るパワードップラー法と呼ばれる方法を用いることもあります。
尚、カラードップラー法が血流の方向を表示できるのに対しパワードップラー法は血流局在を示すのみで血流の方向を表示することは出来ません。
以上から水野産婦人科では臍帯や胎児の心臓の観察にはパルスドップラー法が卵巣腫瘍や子宮筋腫の血流局在の観察にはパワードップラー法が、動脈硬化症や下肢の静脈瘤のある方に対して頸動脈や下肢静脈の血栓の描出を試みる場合には両法の併用が有用ではないかと考えています。

エコー写真/カラードップラー写真

  • エコー写真

    エコー写真

  • カラードップラー写真

    カラードップラー写真
    (赤い部分が心臓です)

パルスドップラーとは

カラードップラー法やパワードップラー法では血流の局在つまり血管の位置を確認することが出来ますが、その血管内を流れる血流速度や心拍動に伴う血流の経時的変化を定量的に評価することが出来ません。
此の定量的評価を行うために用いられるのがパルスドップラー法です。パルスドップラー法で観察対象となる血管内の血流波形を描出し、収縮期拡張期の血流速度、それらの比から血管抵抗を類推するためのインデックスを求めることで観察対象の状態を定量的に評価できるのです。

収縮期:左心室に蓄えられた血液が全身へと駆出される時期
拡張期:次回に全身へ駆出するための血液が左心室に流入してくる時期

  1. ①産科領域での利用
    パルスドップラー法は妊婦に対する他のスクリーニング検査で異常が疑われた場合に実施されることが多く、胎児の静脈管や臍帯静脈の血流波形や母体子宮動脈や胎児中大脳動脈或は臍帯動脈の収縮期及び拡張期の血流速度や速度比を算出し血管抵抗を類推するなどして子宮胎児胎盤系の機能評価を行います。血流波形や血管抵抗の異常は分娩監視装置を用いたNST(ノンストレステスト胎児心拍子宮収縮図検査)で異常が生じるよりも早く出現する場合があり子宮内環境の劣化を早期にとらえることもあります。

  2. ②婦人科領域での利用
    腫瘍内血管を認める病変に対し腫瘍へ栄養等を供給している動脈の血流速度からその腫瘍が悪性か良性かを判断する目安になるとされています。